株主になった、その先に。
さつまいも村には、「株主」と「村民」がいます。
株主は、さつまいも村を応援してくれる人。
そして村民は、村を一緒につくっていく人。
株主になったからといって、必ず村民になる必要はありません。
「もう少し、この村に関わってみたい」
「何か面白いことを一緒にやってみたい」
そんな気持ちが生まれたら、そこからが村民です。
村民に、決まった仕事はありません。
写真が得意な人。
料理が好きな人。
デザインができる人。
子どもと遊ぶのが好きな人。
人を紹介するのが得意な人。
農作業を手伝ってくれる人。
面白いアイデアを持っている人。
あるいは、ただ一緒に飲んで、話して、笑っている人。
それぞれが持っているものを、できる範囲で村に持ち寄ります。
お金だけが「貢献」ではありません。
知恵も、経験も、技術も、時間も、つながりも。
あなたにとっては当たり前のことが、この村では誰かの役に立つかもしれません。
年貢を納める。
昔の村には、「年貢」がありました。
さつまいも村の年貢は、お金ではありません。
あなたが持っているものを、少しだけ村に分けてもらう。
写真を撮る。
料理をつくる。
畑を手伝う。
アイデアを出す。
誰かを紹介する。
そんな小さな「年貢」が積み重なって、村が少しずつ面白くなっていきます。
もちろん、できるときに、できることを。
村民が集まる「寄合」。
村では、ときどき「寄合」を開きます。
みんなでごはんを食べたり、お酒を飲んだり、畑を眺めたり、くだらない話をしたり。
何かを決める必要もありません。
そこで出た何気ない一言から、新しいことが始まるかもしれない。
「この村、なんか楽しいな。」
そんな時間を、少しずつ増やしていきたいと思っています。
村民になったら、何ができる?
決まったメニューはありません。
村民同士で何かを始めてもいい。
村長に面白い企画を持ち込んでもいい。
自分の仕事や活動を、村を通じて広げてもいい。
もちろん、何もしなくてもいい(でも年貢は納めてね)。
村民だから、こうしなければならない。
そんなルールはありません。
ただ、面白そうだから関わってみる。
それくらいが、ちょうどいい。
芋は入口。村が本体。
さつまいもを買う。
畑の一株を持つ。
株主になって、一年を楽しむ。
そして、もっと関わりたくなったら、村民になる。
そんなふうに、人それぞれの距離感で
この村に関わってもらえたらと思っています。
さつまいもをきっかけに、
人が出会い、何かが生まれ、また誰かがこの村にやってくる。
その繰り返しで、少しずつ村を大きくしていく。
村民になるということ
村民になるために、特別な資格はいりません。
ただ、この村には「掟」があります。
村を楽しむこと。
人の面白さを面白がること。
自分のできることを、少し持ち寄ること。
そして、村を自分ごととして楽しむこと。
そんな、さつまいも村らしい10の掟。
この掟を読んで、「なんかいいな」と思った人。
その人が、村民です。
<さつまいも村 掟書(村民規約)>
第一条 村の目的
さつまいも村は、山形県酒田市宮野浦で育つさつまいもを通じて、人が集い、つながり、楽しみながら、「宮野浦のさつまいも」を日本中に知ってもらうことを目指す。
村民一人ひとりの参加によって、宮野浦のさつまいもに新しい価値と物語を生み出し、いつの日か「さつまいもといえば宮野浦」と言われることを、村の大きな目標とする。
第二条 株主と村民
さつまいも村の入口は「株主」である。
株主は、村のさつまいもを楽しみ、その成長を応援する人。
その中で、村の考え方に共感し、もう一歩深く村に関わりたい人を「村民」とする。
なお、株主であることと、村民になることは同じではない。
株主として、ただ美味しいさつまいもを楽しむことも、もちろん村への立派な参加である。
第三条 村民の年貢
村民は、それぞれの「技」「知恵」「経験」「人とのつながり」「時間」「モノ」など、自分が村に持ち寄れるものを「年貢」として納める。
年貢は、お金である必要はない。
デザインが得意な人はデザインを。
写真が得意な人は写真を。
文章が得意な人は言葉を。
料理が得意な人は料理を。
自分のできることで、村を少し面白くする。
それが、さつまいも村の年貢である。
第四条 村のサービス
村は、村民から納められた年貢や、村民の存在そのものによって生まれる価値を大切にし、その代わりに、村民が村に関わることを楽しめる場や機会をつくる。
さつまいも、情報、交流の場、寄合、農業体験、村の企画、村長への相談、村民同士の出会いなど、村でしか得られないものを「村のサービス」とする。
村民は、これらを通じて、村にいることそのものを楽しむ。
第五条 寄合
村民は、折にふれて「寄合」に集う。
寄合では、さつまいもを食べてもよい。
酒を飲んでもよい。
くだらない話をしてもよい。
新しいことを考えてもよい。
何かを決めなければならないわけでもない。
村民が顔を合わせ、「この村、なんか面白いな」と思えること。
それが寄合の役割である。
第六条 村民が生み出すもの
村民が村で出会い、何かを始めることを、村は歓迎する。
仕事でも、商品でも、イベントでも、遊びでもよい。
ただし、それらは村が必ず企画したり、管理したりするものではない。
村民同士の関係は、村民同士の自由なものである。
村長は、それを無理に生み出そうとはしない。
面白いことが自然に起きたら、「これは面白い」と言って、村の物語として大切にする。
第七条 村の物語
村で起きた出来事、村民の活動、寄合で生まれたアイデア、村民が納めた年貢などは、さつまいも村の歴史となる。
村は、それらを記録し、発信する。
一人の村民の活動が、別の誰かにとって「この村に入りたい」と思うきっかけになるかもしれない。
村民が増えることも、村で面白いことが起きることも、すべて村の物語になる。
第八条 村の大目標
さつまいも村が目指すのは、単に大きなコミュニティをつくることではない。
宮野浦のさつまいもを、日本中の人が知っている存在にすること。
そのために、村民は、それぞれの立場から村に関わる。
さつまいもを買う。
人に紹介する。
写真を撮る。
言葉を書く。
デザインする。
誰かを村に連れてくる。
その一つひとつが、宮野浦のさつまいもを有名にする力になる。
第九条 名誉村民
さつまいも村の発展に大きく貢献した人、村の歴史に特別な足跡を残した人、あるいは村の精神を体現する人には、村長の判断により「名誉村民」の称号を贈ることができる。
名誉村民は、村の歴史にその名を残す。
第十条 村長
さつまいも村の村長は、阿部一幸とする。
村長の仕事は、村をすべて管理することではない。
人が集まり、面白いことが起き、宮野浦のさつまいもが少しずつ有名になっていくための「場」をつくること。
村民が増え、村が大きくなっても、村長は必要以上に村を管理しない。
村民が何かを始めたら、それを見守る。
面白いことが起きたら、それを世の中に伝える。
そして今日も、宮野浦の畑でさつまいもを育てながら、時々「面白いことになってきたな」とつぶやく。
それが、さつまいも村の村長である。
以上

